現場奮闘日記

2022.02.09

築100年を超えるような古民家を支える土台の力

皆様いつも昭和リーブスのホームページにお越しいただき、ありがとうございます。
はじめまして、弊社京都支店の塔下と申します。

私は主に、建物の床下環境調査・施工(シロアリ、換気)をいたしております。普段から、いろんなお客様の立派なお宅におじゃまして調査をするわけですが、その中でも特に歴史を感じさせる年代物の建物には、感心させられることがよくあります。

■築100年を超えるような古民家を支える土台の力
コンクリートが普通に手に入らない時代、建物を支える基礎になるのは、「土台(どだい)」です。当時の土台はたいてい地面の上に直接置いてあるように見える(本当は石の上に乗せています)ので、普通の木を使うと、地面の水分を吸ったり、雨風にさらされ、すぐに腐ってしまいます。もっと怖いのは、白蟻に食害される事。そこで使われたのが、クリの木です。

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この写真は、築150年の私の実家ですが、こちらでも土台にクリの木を使用しています。

■クリは食べるだけの植物ではないのです
クリというのは、勿論食べるクリの木なのですが、クリの木は水に大変強い性質を持っています。また虫にも強い。それは、クリの木の中にタンニンという成分が多く含まれており、これが防虫防水効果を発揮するからなのです。私が「すごい」と感心するのは、そこのところです。昔の人が、そのような成分を知っていたとは思えないからです。

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■先人のあきらめない努力と智恵
古くは縄文時代から使われ、青森県の三内丸山遺跡から、巨大なクリの柱根が出土したことでも知られています。なんと縄文時代から土に埋もれていて、遺跡から発掘されるまで 5000年もの間、柱根は腐らず残っていたなんて、すごくないですか。

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青森県 縄文時代の大規模集落跡「三内丸山遺跡」

そんな昔からなぜクリの木が優れていることがわかっていたのか。おそらく、先人たちは、いろんな木を試してみて、たくさんの失敗をして、長い年月をかけて、「クリの木」にたどり着いたのではないでしょうか。大変な苦労だったと推察します。この苦労は、令和の現代でも通じる、人間の成長に欠かせない根幹であるように思います。

明治時代には、鉄道が全国に普及した頃、クリの耐久性が評価されて枕木として採用されるほどでした。みなさんも一度はご覧になったことはあるのでは?現在では、クリの木は入手困難で大変高価な建築材料となったため、ほとんどの木造建築の土台にはヒノキが使用されているようです。

■時代が変わっても、家を大切に思う気持ちは変わらずにいたい
時代とともに、使われる木材の種類が変わってきました。そのため、シロアリや腐朽対策は、現代の建築では、建物の長期維持のために欠かせないものになってきました。

弊社では、大切なお住まいを長くご愛用いただくためのお手伝いをさせていただいております。ぜひご相談ください!

■最後に
"築何百年"といった文化財的建築物でも、土台にクリを使用しているものが多いです。経年変化で褐色化し、とてもきれいで素晴らしい材料です。もしかしたら、あなたのお近くの有名なお寺や旧家にも、クリの土台が使われているかもしれませんよ。